キリンノックスの独り言

キリンノックスの独り言

無益な独り言を書きます。

兄「おれは借りを返しに来ただけだ」

f:id:kirinnox:20191114165146j:plain

 

8年前。

私は大学生だった。

もう8年も経ったのか・・・

 

 

大学生の私は、まぁまぁウェイで、まぁまぁクズだった。

まぁクズなのは今も変わらないけども。

 

 

朝まで遊んで、家に帰って、大学をサボって寝ていた。

もちろん、ちゃんと卒業したので、それなりに授業には出ていたのだが、平日も休日も区別がないような生活を送っていた。

 

 

バンド、ドライブ、酒。

私という人間の根っこは根暗キモオタなのに、これだけ並べると超パリピっぽいから不思議だ。

しかし、あのときの友達も、心底ウェイな人たちではなく、どこか心の隅に闇を抱えている人が多かった気がする。

当のおれももちろん、心のそこからウェイではなかった。

表面上のウェイだったのかもしれない。

 

 

生まれてから、現在28歳まで、登園拒否やら不登校やらでずっと社会不適合だったが、大学生だけは、表面上はまるで普通の大学生のように過ごしていた。

 

 

そんな大学生のある冬の日の夜。

 

 

おれは酔っていた。

どこで、誰と飲んだかは覚えていない。

 

 

おれは車を大学付近の駐車場に停めていたが、流石に飲酒運転で帰るわけにはいかない。

しかし、いかんせん寒い。

時刻は夜中の4時で一人ぼっちだ。

これは車で暖をとって、日が昇ったら友達んちに転がりこんでなんとかするしかないな。

そう思った。

 

 

しかし、車のエンジンはかからなかった・・・

車内灯が付きっぱなしでバッテリーが上がっていたのだ・・・

 

 

バッテリーあがりは何度かやった。

情けないやら、不甲斐ないような気持ちになる。

大体不注意によるものだからだ。

余談だが、現在、私は絶対に車内灯を使わないことにしている。

車内灯をつけなくなってから、バッテリーが上がることはなくなった。

 

 

20歳のおれは、真冬の朝4時に、酔った状態で、車で暖を取ることもできず、暗い田舎の街で、独りぼっちだった。

道を歩いている人もいないし、家の明かりも大体消えている。

 

 

この状況は明らかにおれが招いたものだ。

酒を飲んだのも自分なら、バッテリーを不注意で上げてしまったのもおれだ。 

 

 

どうするか悩んだ。

選択肢は4つだ。

友達に電話する。家族に電話する。 ファミレス。凍え死ぬ。

 

 

24時間やってるファミレスまではかなり距離がある、歩けば50分くらいかかるだろうし、酔って深夜にファミレスに入るなんてかっこ悪い。と当時のおれは思っていた。

 

 

凍え死ぬ。 

これはありだったかもしれんな。

あの時が全盛期だった。

あのとき死んでも、多分後悔はなかったと思う。

 

 

友達に電話。

本物のウェイだったら、コレだっただろう。

または、おれが地元の大学でなかったら、コレしかなかっただろう。

だが、おれは友達に迷惑をかけるのが嫌だったし、なぜかプライドが邪魔をした。

 

 

朝4時。

おれは実家に電話した。

迷惑なのは重々承知だ。

でも、迷惑をかけるなら、赤の他人ではなくて、家族だな。となんとなく思ったのである。

当時大学院生だった兄が電話に出た。

 

「もしもし~?あ?お前か。なんだよ。こんな夜中に。」

 

明らかに機嫌が悪かった。

当たり前だ。朝4時に寝てない人間なんてそういないだろう。 

おれは、経緯を説明した。 

兄は言った。

 

「わかったすぐ行くよ。」

 

おれは、凍えながら兄をじっと待った。

 

兄が車できた。 

とりあえず、夜も遅いので車は一旦放置して家まで送って貰うことにした。 

 

帰りの道すがら

 

「わりぃね」 

 

と言った。本当に「悪いね。」と思っていた。

なんだか、不甲斐なかった。

自分でも自分が不甲斐ないやつだと思っていた。

 

 

大学生でなんとなく不安で、このままダラダラした日々を過ごすのは、駄目だと思いながらも、頑張ることができずにモヤモヤしてる。

なにかに全力で打ち込むわけでもなく、ただ、大学生という身分に甘えて遊んでる自分に自己嫌悪している。そんな「悪いね」だった。

 

 

だが兄は言った。

 

 

「おれは借りを返しに来ただけだ」

 

 

いつ貸したのだろう。

貸した覚えはない。

 

 

それでもなんだか涙が出た。

自分はなんの役にも立っていないと思っていて、迷惑しかかけねぇやつだと思っていた。

それでも、兄に何かを貸していたのだと、自分の存在が肯定された気がした。

 

 

 

4日前に行った、いとこの結婚式で、兄が涙を流していて、エモくて良い兄だな。と思い、このときのことを思い出した。

 

 



お問合せフォームプライバシーポリシー